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「お年寄りにやさしいまちづくり」松江天神町商店街

わたくし中村寿男(なかむらひさお)は、松江天神町商店街の理事長を務めております。天神町では地域の活性化に向けて様々な取り組みがなされており、そのキーワードのひとつが「お年寄りにやさしいまちづくり」です。以下にその取り組みの内容を紹介させていただきます。

松江天神町商店街の歴史は古く、慶長16年、堀尾吉晴が、松江に城を築くと同時にできた町といわれています。江戸時代から門前町として栄え、この頃から現在老舗と言われる歴史ある店舗が存在しはじめ、明治7年頃には、山陰ではじめて夜店市や芝居小屋、映画館の草分けでもあるハイカラ館などが建てられ、松江随一の歓楽街として、明治末期には松江銀座と称されるほどの賑わいを見せていました。ところが昭和50年代後半から、市街地のドーナツ化現象や車社会に呼応した郊外型大型店の進出、更には後継者問題などで、衰退の一途をたどりはじめました。

唯一、私たち商店街が誇るべきことは毎年の7月24日・25日の夏の天満宮例大祭で、神輿がのべ10数台も出て、この時だけは夜遅くまでたくさんの人で賑わいます。この「祭り」を何とかきっかけに商店街の活性化が出来ないかと、試行錯誤をしていましたが、結局はなすすべもなく、毎年少しずつ商店街は寂れていくばかりでした。

ところが平成11年の2月頃、突然、松江市から新しいタイプの天神町の活性化の提案がありました。それは「お年寄りにやさしいまちづくり」でした。日本の一番の高齢者県・島根県の県庁所在地である松江市の中で、この天神町を中心とした白潟(しらかた)地区が一番高齢者の住んでいる地域です。(白潟地区は高齢者率29%、独居150世帯)今後2050年頃まで、日本全体が高齢化していきますが、その先進県として、そしてその県庁所在地の松江市として、ぜひ全国に先駆けて高齢者の方の住み良いモデル地区(生き生きお年寄りをつくるまち)を作りたい、それを、天神町で作りたいとの松江市の提案でした。

商店街のメンバーは、日頃から今後の商店街に危機感を持っておりましたので、最初は「お年寄りさん」という対象に戸惑いはありましたが、日本で一番の高齢者県を、発想の転換でプラスに取る行政の考え方に感動し、「お年寄りにやさしいまちづくり」による天神町の活性化を推進することに決めました。即、商店街の若手を集めたプロジェクトチーム「天神町まちづくり委員会」を発足させ、毎週火曜日に早朝ミーティングをはじめました。また同時に、松江市・商工会議所TMO・天神町商店街役員での(官民一体の)ワーキング会議も開始されました。 そして、それらの会議や視察等を重ねていくうち、「お年寄りにやさしいまちづくり」の3つの重要ポイントをおさえることが出来、それを出来るところから実行していきました。

「お年寄りにやさしいまちづくり」の3つの重要ポイントは、以下のとおりです。

(1)交流の場があること
例えば、病院の待合室にお年寄りが集まり、話の花が咲くようですが、このようなお年寄りが集まりやすい施設(溜まり場)を、商店街の空き店舗を利用して設置することとなりました。これは市の福祉課の施策として行われました。そして、その年の平成11年7月の天神夏祭りには、その施設2軒が名称を「まめな館」と「いっぷく亭」としてオープンしました。運営は、商店街の負担にならないよう、また、この機会にお年寄りさんと商店街が対話できるように、老人会や社会福祉協議会などからなるメンバーで、「ふれあいプラザ協議会」を作り、運営することになりました。

(2)信仰の対象
どこか先進例がないか、その年の5月には、商店街メンバーを中心に視察に出かけました。東京巣鴨の商店街「とげ抜き地蔵」を見学した時、お年寄りは、外出する時に「お墓参り」や神社・仏閣への「お参り」を兼ねること、また、出る口実にも「お参り」は重要な理由になることを知りました。しかし、振り返って見ると、当時の天神町にはその信仰の対象がありませんでした。 当時の天神町には「とげ抜き地蔵」のような信仰の対象がありませんでしたので、「天神町街づくり委員会」で討議した結果、天神町の唯一の信仰対象である白潟天満宮に何かその対象が出来ないかという検討を始めました。そして、天神様、学問の神様、頭の神様そして、お年寄りには「ボケ封じ」という考えの発展で、白潟天満宮の宮司様の絶大な協力を得て、全国に先駆け「天神様」にお年寄りのための「ボケ封じ」の神様「おかげ天神」を建立することにいたしました。この年の8月25日のおかげ天神の建立はNHKの全国ニュースでも放映されました。

(3)高齢者の皆さんが楽しくショッピングが出来る町
以上の2点が実現化する見通しがついたので、いよいよ本来の目的である商店街の活性化の検討に入りました。そして、高齢者の皆さんが、楽しくそして安全にショッピングをしていただけるように、歩行者天国の天神様の縁日(「天神市」25日)をスタートさせることになりました。 商店街独自では、歩行者天国を警察に申請してもなかなか許可が降りないのだそうですが、ここは、(官民一体の)ワーキング会議から行政からの強力な働きかけで、8月25日のおかげ天神建立と同時に、歩行者天国の「天神市」を催すことが出来ました。

このようなことで、今年は「お年寄りにやさしいまちづくり」をスタートさせて、4年目になりました。現在も、順調に「天神市」は、お年寄りを中心にたくさんの人で賑わっています。この「天神市」が始まって以来、各方面からいろいろな事が発展・展開してきました。

まず、「天神市」自体に確実に来店客数が(お年寄りに限らず、小さな子どもたちや家族連れの来店客数が)増えてきました。中には、少し離れた地区の老人会が、バスチャーターでお参りに来られるケースもありました。また、今までなかなか埋まらなかった空き店舗に出店希望が出てくるようにもなりました。

平成12年には島根大学の法文学部のゼミが、大学生の運営・体験するショップ「おかげ庵」がオープンし、その後、これがきっかけで体験学習として中小学校が参加するようになり、毎月の天神市には、子どもたちの賑やかな声が聞こえるようになりました。

平成14年には天神様前のロータリーにきれいな公衆トイレが、さらに、松江市環境課「まつえエコショップ」もオープンし、「お年寄りに優しいまちづくり」に続いて、「環境にやさしいまちづくり」もスタートすることになりました。

一方、時代を見据えたまちづくりとして、特に、一からの新しいまちづくりを完成させたさせたということに注目され、平成12年頃から、少しずつ県内外からの視察が増えてきました。今では、1ヶ月に平均3件の視察が入ります。

このような中、特に印象的だったことは、平成13年2月にNHK「ひるどき日本列島」で全国放送に取り上げられたこと、同年4月には経済産業省の中小企業庁長官が日帰りで視察にお出でになられたことでした。

今後は、隣町も取り込み、「お年寄りにやさしいまちづくり」のゾーンを広げていき、また(行政も希望していますが、)5のつく日(5・15・25)を縁日として、開催日を増やしていきたいと希望しています。さらに、現在、お年寄りさんへのサービスの向上のために「お年寄りにやさしいIT網」を作れないかも、検討しています。

以上、私の体験にもとづいたお話でしたが、肝心なのは「今の時代こそ発想の転換が大切である」ということではないでしょうか。全国的に商店街は衰退の一途をたどっています。そのような状況下で、私たち天神町商店街が、幸いまちづくりに成功したのは、なんといっても行政からの「お年寄りに優しいまちづくり」という提案でした。日本の一番の高齢者県をマイナスと取らず、プラスに取る行政の考え方は、すばらしい「発想の転換」であり、感動いたしました。そして、松江市・商工会議所TMO・天神町商店街役員との毎週のワーキング会議によって、常に「問題意識の統一」と「共同作業」が出来、迅速にこのようなあたらしいまちづくりが実現したのではないかと思います。まだまだ、このまちづくりは進化して行きそうです。